note転載36 しられない、シルフのシイタのシタサキで

いつでもどこでも、シラフのふりして、知らんぷりして、ブラフをかけてしまう、いつでもどこでも、大事なことを、しらべもしないで、しらせもしないで、しらをきってしまう、とってもすなおな、わたしたちの愛は、ミロクのシルクの糸よりも、地獄の天からおりてくる、蜘蛛の糸よりも、切実なしらべだったから、ひたぶるなシラブルで、ふるふる震えて、くたびれた風邪ひきのような心地で、いつでも自分の名前をさがしている、わたしは、さみしいシルフになったみたいに、わたしに会ったことのある人のなかにならどこにでも、神出鬼没な、わたしを見つけたの。

 白雪、白百合、冷や雪、根雪、それはみな、たくさんのしを隠して、しめしあわせたみたいに、降っていた、羽のようにつもっていった、シンシツで、シリウス、シリトリ、シラトリたちに、つつまれながら、わたしは自分がかくれているのか、むしろ自分ではないものがどこかにいなくなってしまったのか、分からなかった。

 そんなわたしのシンジツは、宇宙と同じ大きさをした、井戸の底をさまよっている微生物みたいだったの、幾何学的な座標軸の上をさまよっている、数学上の一点みたいだった、その一点は、スズムシたちの鳴き声の、やわらかく白っぽい金属質の水深のどこかで、溺れていた、しんじてくれた??わたしは、まるで、赤子のように純粋無垢な分からずやたちがクリスタル質の軒をつらねている、そんなパサージュのどこかで咲いている、スイカズラノウゼンカズラのシズクに融けていたのね。

 水の泡になったたくさんのわからずやたち、それは、わたしのなかで、ひんやりとしたダイヤモンドでできている、大納言といっしょに、清潔で涼しいことでしられる清涼殿で、しずかなシーツにくるまっていたの。しっとりと、薄荷の薫りのする、やわらかいハツカネズミみたいに、ハリガネソウや、ツリガネソウの、白い花弁を、みちしるべにして。

(2017年執筆 2018年完成)

 

------------------------------------------------------------------------------

note転載の詳細についてはこちらでどうぞ⇩

予定を変更します。 - Keysa`s room

 

2002年から2018年までに書いた詩や小説などをnoteにまとめました。 - Keysa`s room