note転載22 トガをせびったゆびさきの、姫さま
ミンカでミントがミンクの毛触りをして、
虫のしずくのように、
ひとみをみたしていたのを、
まなかいにして、
すべりだいを呑み放題にしたような、
転落していく人生を飲みほして、
永遠に若返ったの。
だからたからものをたかりにやってくる、
おたかくとまったハゲタカなんて、
なんにもこわくなんかなかったわ。
インクがにじんでリンスになって、
ピンクになって、
ナイアガラの滝になって、
おつゆに浸してくちにいれたら、
ゆうべの船はうでのように長くて、
うっすらとしたウズラたちが、
渦を巻いては星屑になっていく水面を、
たたえた汀に右手はこたえて、
肩の付け根から横たえていたの。
おやゆび姫は、
いつでも親から、指刺されることから逃げていく、
そういう客人(まろうど)だったから、
怖いものを気にしているせいで、
強い(こわい)いきものになっていたのね。
インフルエンザ、
インフルエンザ、
悪い星たちの翳りのしたで、
掃き溜めの国の女王蟻は、
区別みたいに、
傀儡みたいに、
水紐のしたで、
水もよいの木漏れ日のしたで、
死んだように目を伏せている、
フキノトウみたいな、顔をしていた。
風下をとおして、
どうしても、
かわかしたいものがあって、
かどかわしたいものが、
あったというの?
かがやきのレースを、身に纏っていた、
わたしは、
樺の木のしたで、
立ち退き料をせびって、
大人になった、つもりになっていた。
ひざまづいたせいで、
かれらのつめあとは、ひふに食い込んでいた。
シロツメクサみたいに、
詰めのあまい、
ふつうの人を、
だまくらかした、
なまくらみたいに――
罪の重みに、苦しんでいたのね。
(2017年)
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