OverTheControl EP① /ある子の精霊指定都市
はっきり言いましょう。この3曲は、すばらしいビートを提供してくださったdjaponさんのおかげもあって、ポエトリーリーディングやラップの音源作品としてはかなり稀有な作品なのではないかと・・!!(自讃)
というわけで、メインタイトルになっているOverTheControllは前回の動画でラップ歌詞を読めるようになっているので、残りの2曲の詩についてものせようと思います。まずは2曲目。ある子の精霊指定都市から。
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ある子の精霊指定都市
ある子は枯れ果てた平家物語にでてくるような精霊たちに幽霊たちに、亡霊たちに、指定された都市に住民登録を済ませた、聖なるろくでなし、みうしなわれた平家の陛下のみなしごだった、色とりどりのロジックと、地形図と、智慧の、あらゆる時空間のパラメータでできた妄想と、香草と、昇華酵素を、光速で組成し、抗争を繰り返して死者を出しては蘇生していく、強度に都市化されすぎて構想段階でついえた王道楽土の残骸に住んでいる、おさなごだった。
彼はこととう異国の碧い鳥たちに匿われ、もののあわれに拘束されたまま、永遠に、運命に控訴し続ける、皇帝のように高貴な思想の申し子だった、口から泡を吹いて、ものぐるおしい、泡たちは淡い色をして滴り落ちるくちなわになっていく、そんな死相から、死兆星から逃れるように、もののみごとに失踪していく、シックなシステムを実装した有機的なアルゴリズムのある子だった。
アステリズムの羽衣にくるまれ、くれなずむある子は、歯槽膿漏のように、呪われ、ひびわれ、禁止を越えては増殖していく、冬という現象の、少年の歌声になって燃焼していく銀糸のような、原初の菌糸に、きらめいているこども、紫蘇の葉の形の、鱗をなくして、かつて始祖鳥から進化していった種族のように、自然淘汰と遺伝子エラーによって次々に構造を変えて行く、類似した響きを継々に肯定していく、太古からの人類の声帯を起源に持った生態系だった。
演奏され、演算され、演繹される、水の駅、背負った怒りを下ろして静かに停泊するステーション、中秋に、氷河のように抽象され、傷ついた塩の結晶のような瞳をして、丁寧に包装されたテレパシーを放送する、奇妙な王笏にはめこまれた、桜桃のようになめらかな宝石たちに、それ相応に、応答しながら、東欧に向かい、光のセキをしながら、くたびれて最後は正義を譲渡していた、そして房総半島で、水疱瘡にかかった子供の見る夢のように暴走する黄銅鉱に水葬されていた。
オートマティズムにかかったある子は、聖水で両足指を涼しく濯ぎ、生命的な精霊たちを呼び寄せる、鈴飾りをつけてあしのいでたちを正装していた、そうして踊った、成層圏で、清楚な栄枯盛衰を幾星霜にも渡って繰り広げている、織天使たちみたいに、調香されて、調合されて、ちぎれて幽霊になった腸の群れが次々に蝶たちに羽化していく、そんな兆候に満ちみちて。
シャーマニズムに彩られている、古代中華の楚の国の末裔みたいに、素数でできた未来のしらべを、ト長調で、味蕾から流す、つぼみをさかせるひなげしを、育成していく、アーティフィシャルなインテリジェンスを幾重にも装備して、歌われる、その十六夜に、いざなってくるのは、人はいさ、心も知らず、イザナミの血を引く、アルゴリズムの、ある子の、リズムだった。
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この詩は今年(2021年)1月に作った詩ですが、まだラップに目覚めてはいませんでした。ただ、かなり韻を踏みまくっている、というか韻で作っている、といのがこの詩の個性になっていると思います。
さて、この曲なんですが、もともとはdjaponさんが作ったこの曲が最初にありました。コロナウイルスが流行する前に大規模なパンデミックの警告をしているビルゲイツの演説動画に、作ったビートを載せています。
これはこれでカッコいい、というかラップとかポエトリーの面白さの一つは、このように同じビートに全く別のビートを付けたり、一つラップや歌詞に、全然違うビートを付けられることがあると思います。歌だとこうはいかない。ちなみにこの動画でdjapoinさんはプレステのパーカーを着てますが、わたしの家はセガ派だったので見ているとサターンのパーカーを着なければいけないような気分になりますね。全然関係ないけど、最近メガドライブミニとかゲームギアミクロ | セガとか出てて私は本当にびっくりしました。子供の頃に欲しいけど高くて買えなかったメガCDミニとかでてくれないかな・・・