note転載40 ひとのいとなみ
どこにも証人がいなくても、誰からも承認されなくても、
わたしをおぼえている人がいなくなっても、
このわたしがここにいた事実は消えない、
事実は事実なのだから。
そういう意味では、
人の行いは永遠に消えない、
人類が絶滅して、
生物が滅びて、
地球が滅びて、
この宇宙が滅びても、
それらが実際にこのようにここにあったことは消えない、
永遠に。
人権、人の尊厳、それは人工的な概念だ、
でもなぜその概念があるのか、
それは、あなたがかけがえのない生き物だからだ、
そういう風に、
どこかのだれかが感じるからだ、
どこかのわたしが感じるからだ、
あなたがどんなあなたであっても、
そこにいたあなたがそういう風に感じられ、
そういう風に思われたことは、
確かに多かったのだ、
それは今この言葉を読んでいる
あなたが死んでも変わらないからだ、
そして、他の人も、人という生き物である以上、
あなたとそんなにかわらないから、
状況さえそろえば、
別にあなたと呼ばれていたのだ、
言葉は、
ひとという種族のいとなみによりそっている、
言葉の意味は、
ひとという種族のいとなみによりそわれている、
わたしたちは
よりそわれているものなしに、
意味を伝えることがない。
(2018年)
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