note転載28 なまえは、シルカ?

白くて、つややかで、
ちみつな鱗片に被われた、
きらめける、くちなわの皮膚で、
リリフリリ、皮膚、で、できている、
シンセイ、シィツの、いりくちにまで、
流された、かけらのような、
超新星、宙に引く尾は、
包帯をする、銀貨みたいな、玉の緒の、
――ペンダント。

黄金鎖(きんさ)は、沙(すな)の。
とっても、神聖な、しつを持って
――うまれたの、だから。

なまえは、シルカ

――あかるい、シンセシス
かあるい、
思わず、数えてみたくなる、くらい、

――つらつらとしていて、生い生いしている、
沙(すな)に、埋もれていた、
しょくぶつの、月の、触れられて、食べられて、
うすくちの、緑色、
茎の、くきのいろに、
呑み込まれていくミィミのように
落ちて、いったの。

口々(くちくち)に、ほめそやす、ひとの口の、
その口々(くちくち)の鴇(とき)色。
いろはに、ふんだんにちりばめた、
みす色の、籬(まがき)、みたいに、
簾(すだれ)、みたいに、ヴェールをからげて、
ミリスの色をした、
さわを跨いでいくわたしは、
躍る宝石みたいな、
ホウセンカみたいな、
弓なりの、弦木(つるき)みたいな、
ソエギアテ。

耳鳴りに、きらめける、
とおせんぼみたいに、
足でしずしずと、たっている、
それなりの、
シルカ
それなりの、
鹿のような、手足をした、
テアテをうけた、
テオイの、流人なの。

――流人、るにん、それは、流されていくひと、
ひとが流しているの、
それとも流れがそのままひとになっているの、
その流れとはなに・・・なのか、
分からない、けど、
同時に、わたしは、
シカと自己との関係が、
そういう流人みたいに、ないまぜにとけあって、
まるくあみ合わさった、
くるみとつるきのあみかごの、
カゴいっぱいに溢れ出す、
シカトジコたちの、
シカゴの国から、
流人のように、流れて、
きていたの。

そう、きいて?
テアニン、メラニンメラトニン
ルチル、
ルチル、

――どうもうな雹たちが、
ヒョウヒョウとしたツラをして、
つららまじりに、透きとおり、わたる、
鏃(やじり)みたいに、つめたい、インセキは、
ひせきみたいに、
たどって、
消えて、

――わたしたからだは、
表とか評とか、豹たちで。

分析され、分解され、
断末魔を上げて、
粉末状になって、
粉末城にくんりんする、
うすいエメラルドの着物をした童女様、に、
なっては、
粉飾決算に、なっていたの。

王女様の、演技をした。
やからわい、石英質の、こまかい、
イシでできた人魚たちの、うから。
こまかい。

――さんすうのようにとけていくの?

散乱していく、
蚕のたまごたち、
プリスム、
ほのかに、
口吻の、亜麻色の、子猫に、つつまれて、
ヤマネ、あかね色の、フェレットの毛並み。
マリリスのような、わたしは、
天離(あまさか)る、ヒナたちの雲居から、
よもすがら、
アカシの波間を、
あかるいイシたちを、
すみやかにあらたって、
じぶんをあしらっていく、
水のしぶきを、
見てい、たの。

あしら、かたらっている、
シジュウカラ
じぶんの、
まとまりを失っていく、
シュクメイ?
アオ白いキセ、イ、ジュウ、を、
ヤドらせている、
アルゴリズムに、したがって、いる?

――わたし、シルカ
シルルカ、カイルルウ、
そういう、なまえ?

玉虫色の流砂でできた、
硫酸効果で高円寺の高架下で流産――つかれたの?
生みまれそこなった、流人たちの、
みみそこいの、竜神になる、はずだった、ムスメ、
ヤトノカミの、ヒメ?
ハスノヨウナムス、メ?

――名にしおう、
及び腰の
柳の腰の、
アルカリ性
――ジョウホウメイセイタイ?

――嫋々(じょうじょう)、酌量してしまう、
ジョウチョ的な、セイメイタイ?

姓と名のオビ、
オビト、皮膚の城で、ちのように、
にじんでいく、淡紅色の、字(あざ)の、
血管を流れる欠陥の、
ひとつぶひとつぶ、
たくさんのお嬢さんのように流れていく、
その河のひとつびひとつつびが、
河原の沙の、
ひとついび、つつび、ひとつつびが、
いきてうごきまわる、ゆびさきみたいに、
ジョウホウとジョウチョの、みたがいのジョウホに、
ゆらめいている、
リュウシ的で、リョウシてきな、
ふわふわな、
様式と。

ツツジ、あふれ、あふえ、こぼえれる、
ひたひたと、鹿のオモテをあるいている、わた、し、は、
多様な様相をレイヤーにした?
幾重にも構成された、しのステム?
様相自体も多様なミクロな様相を往来して、
無限の顔を、テータみたいに、つけている、
聖なる毛並みの、コギツネ、
かむいたちの、アヴァタアル?

――子鹿のような、シルカ
それは鹿だったから、
コウゴウセイより、コウジュウセイされ、
魔法を、ひととつ、
生み足すように、
無数の透明なゼリーに圧縮されて、
セリイ、せりの花の、レリイフ、になる、
りんごのかじゅうであふりたされて、
ルテイン、遠い星からきた、異性のひとたちの、
憧憬文字みたいに、
ヒョウメンに、うかびあがる。

――ヒエロクリフ?

わたしムシカゴだった?無のシカゴだった?
無感動を伴う、
磁鉄鉱の、
ひとの生(む)れから、
いずる、
なめらかに腐食していく、
黒々とした檻の間(ま)を、
両手でつかんで、
狂ったように揺さぶっていた?

だれなの?
つぎつぎに、
まろやかな形で、
なだれ落ちていく、
カゴやご加護からもこぼれ落ち、て、
たくさんのルビと、
たくさんのルビィのユビ。
シカたちとシルカたちの、
でぐちになって、
数列と情緒と生存の――だけになって、
うちあけられた孔(あな)をはなれ、
清濁をあわせ、
かがみ、

ニアワセノンデ?
フラクタル、情念模様?
ふるあけたるる、る・・・?

ねえ、
小川は、
かふかふとやすらえる、蒼色の球体に、
レモン色のきらめきは、たまごの黄身みのひなたの白さの、
永遠(とわ)をシャボン玉みたいに薫(かお)らせて、
柳の木の葉のせせらぐような音をたてて、
せいけつな、せっけんすいで、
とうとうと流れるの。

メダカ、アブラハヤ、
わたした、思念、
ミズケムリに惑わされて、イシになり、
われさきがちに、
川床をころがって?

コロン、コロン、セミコロン、
セーヴルの、毛かわ?

りんぺんに被われた、ひふ、からわ、
水紐がなみだをながす、ながすぎる金属になっていたの、
はたらき?
はちみつは、つめたくなってからかたまるの、
――ひふにつもっていく、温度変化、
つらぬかれていくぜんしん、
むかし、
ミニチュアのウエキバチで咲いていた、
カンツバキの木にまもられて、
カノコ色のコジカの手足に包帯していた、
わたしは、シルカ

はらら、はららと、
すすりないている、
無をはらまされた、姉たちは、
カミノコを生むように、
そらをうめつくすしつようなヤドカリたち、
やとからはなれて、
あわをふいている、カニたちだった、

そこで、
そこいで、
そそいで、
メランコリーの、
――ペンダント。

黄金鎖(きんさ)は、沙(すな)の。
とっても、神聖な、しつけを持って、
(かすかにしっけて?)

――うまれたの、だから。

なまえは、シルカ

(2017年)

 

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